2021年6月21日のアマゾンプライムデーでAirPods Proが破格な割引をしていました。
完全ワイアレスイヤホンに関しては別の機種を既に愛用していたためあまり買う気はなかったのですが、定価から8000円近くも割引がされていたため妻に懇願して買いました。
実際に使ってみるとAirPods Proは完全ワイヤレスイヤホンの枠を越えて新しい体験をもたらしてくれました。
普段、Apple製品にガッツリお世話になっている僕が実際にAirPods Proを使用して感じたことをまとめて解説します。
以前まで使用していたSoundcore Life P2のレビューはこちらから。
AirPods Proとは
AirPodsシリーズはiPhoneでお馴染みのApple社が販売している完全ワイヤレスのオーディオガジェットです。
項目 | 技術仕様 |
---|---|
Bluetooth | 5.0 |
重量 | 本体:5.4g(片方につき) ケース:45.6g |
サイズ(高さ×幅×厚さ) | 本体:30.9×21.8×24.0mm ケース:45.2×60.6×21.7 |
AirPodsセンサー | デュアルビームフォーミングマイクロフォン 内向きマイクロフォン デュアル光学センサー 動きを感知する加速度センサー 音声を感知する加速度センサー 感圧センサー |
バッテリー | Qi規格充電器とLightningコネクタに対応 本体:最大5時間の再生時間 最大3.5時間の連続通話時間 ケース:最大24時間以上の再生時間 最大18時間以上の連続通話時間 充電ケースで5分間の充電で約1時間の再生時間または連続通話時間 |
対汗防水性能 | IPX4 |
重量とサイズ
本体の重量は片耳5.4gと装着感をほとんど感じさせません。
ヘッドホンや重量が重いイヤホンは長時間装着していると耳が疲れてしまうのですがAirPods Proの重量であれば気にする必要はなさそうです。
重量とサイズについてですが本体とケースを含めた重量で56.4gしかありません。
ポケットに入れていると存在感がなくなってしまうため間違って洗濯してしまわないように注意する必要があります。
AirPodsセンサー
センサーで着目すべき点は3つであります。
まずは感圧センサーです。
AirPods Proの操作は本体のテール部分?にある感圧センサーで行います。
テール部分を摘むと感圧センサーが反応してカチッっというスイッチを押した音とポロンやポンといった独特な効果音が鳴ります。
短く摘むと音の再生や停止、長く摘むことでノイズキャンセリングモードと外音取り込みモードの切り替えが可能です。
動きと音声を感知する加速度センサーはこのガジェットの肝となるノイズキャンセリングと外音取り込みモードに関わってきます。
バッテリーに関して
バッテリーに関しては本体のみで最大5時間、ケースの充電を併用することで24時間以上の使用が可能となります。
ケースの充電に関してはワイヤレス充電とLightningコネクタに対応しています。
LightningよりはUSBーCに対応して欲しいのですがiPhoneとの親和性を考慮すると仕方ないのかなと思います。
対汗防水性能
防水性能に関してはIPX4とのことで雨や汗程度であれば問題はないようです。
ただ、水没には無防備なので間違って洗濯機に入れてしまった場合は壊れます。
セットアップについて
セットアップは非常に簡単です。
上記の画像のようにケースの蓋を開けるとiPhoneの画面に出ているポップアップが出てきます。
ロックを解除して接続をタップした後は画面の指示通りに進めると接続完了です。
買ったものは空間と体験(アクティブノイズキャンセリング、外音取り込み機能、空間オーディオ)
AirPods Proを使っていて僕が体験したものをどう表現したものかと考えていました。
このガジェットは既に完全ワイヤレスイヤホンの枠を越えているのはわかっていたのですが伝える言葉が中々見つかりませんでした。
なので、AirPods Pro完全ワイヤレスイヤホンではないことを前提にして体験したことを考えてみることにしました。
空間を買う
AirPods Proの特徴として挙げられる機能が3つあります。
- アクティブノイズキャンセル
- 外音取り込み機能
- 空間オーディオ
アクティブノイズキャンセルで空間と分離
アクティブノイズキャンセルはAirPods Proの側面に付いているマイクから外音を感知し、外音と逆の属性の音声を流すアンチノイズ機能で外からの音を軽減します。
つまりAirPods Proは外からの音声に対してフィルターの役割をします。
AirPods Proのアクティブノイズキャンセルは非常に優秀で低音を中心にカットしてくれます。
アクティブノイズキャンセルをオンにした状態でAirPods Proを装着するとスッと周りの音が消えます。
日常生活において、いかに自分が雑音に囲まれているかが実感できます。
まるで自分が雑音のない空間へ移動したかのような体験をすることができるでしょう。
僕は耳栓を使うような感覚で使用していますが、外音がカットされることで自分の聴きたい音声を大きな音で流す必要がなくなります。
つまり、音漏れ対策にもなります。
自分の好きな空間を外部と隔離することができると言っていいでしょう。
外音取り込み機能で空間を合成
外音取り込み機能に関しては個人的には最も高く評価しています。
外音取り込みで最たるものは外音が自然に聞こえると言うことです。
自然に聞こえると言葉で書くのは簡単ですが、自然に聞こえるためにはいくつもの要素をクリアする必要があります。
- マイクとスピーカー通すため機械音のようにならないようにする必要がある
- 実際の音との時間差が出ないようにする必要がある
- 音の聞こえた方向や距離が正確に表現される必要がある
開発段階ではこれ以上に多くの要素を検証してあると思いますが使用して実感できるのはこの3点でした。
クリアな音声は不自然さを排除した結果
イヤホンはメーカーによって得意な音があります。
A社は高音が得意、B社は低音が得意といった感じで同じ音を流すにも関わらず聞こえ方若干が異なるのです。
商品のグレードによっても差は生じますが、メーカーの作る音の傾向は共通している場合が多いです。
このメーカー毎にある若干の違いを「味付け」と呼びます。
では、AirPods Proの味付けはというと5段階評価のオール4と言えば分かりやすいかと思います。
高音も低音も、音の広がりだったりも誇張せず自然に近い音声となります。
そのため人の声もマイクを通したような不自然さを感じる事はありません。
外音取り込み機能は機械を通した不自然な音を克服することで、装着したままでも外音を違和感なく楽しむことができます。
会話すら問題なく可能ですが「イヤホン外せよ!」と怒られるかもしれないので注意が必要です。
実際の音とのズレを極限まで無くした
テレビで音楽番組を視聴する際にアイドルの口パクがズレていて違和感を覚えた経験はありませんか?
実は音ズレは脳に対するストレスが非常に大きいと言われています。
外音取り込み機能ではこの音ズレを認識する事はありません。
厳密に言うとマイクとスピーカーで処理されているため若干音は遅れているはずですが、常人ではその差を感じることは出来ないレベルで仕上げられているものと思われます。
目から入る情報と耳から入る情報に差があると脳にストレスが掛かり疲労感が出現しますがAirPods Proからはそれを感じる事はありません。
全方向からの音が手にとるように分かる
外音取り込みの機能の中で最も重要な要素となります。
どこから音が聞こえているかという音源の位置にズレを感じられないのです。
交差点で信号待ちをしていると車が横切る際には色々な音が鳴ります。
車の動きに対して、音の方向、距離感にズレを感じる事はなく、近付いて来て離れていく車に違和感を感じる事はありません。
AirPods Proを装着したままでも後ろで鳴っている音があれば、後ろに耳を向けると音が大きくなります。
AirPods Proについているマイクをそちらに向けることになるので当然と言えば当然です。
では、後ろを向かずに後ろに集中してみるとどうでしょう。
なんと後ろの音が大きく聞こえるように感じてしまいます。
これは僕の認識している「後ろ」とAirPods Proが作っている「後ろ」にズレがあると起こり得ません。
AirPods Proは人間の音の認識を完璧に再現していると言っても良いでしょう。
・クリアな音声は不自然さを排除した結果
・実際の音とのズレを極限まで無くした
・全方向からの音が手にとるように分かる
上記の3つが組み合わされると、イヤホンを装着することによって切り離された空間の音が再度足されることになります。
イヤホンを外せば外の音は普通に聞くことが出来ますが、外音取り込み機能を使用すると今いる空間の音に自分の好きな音を足すことが出来ます。
おしゃれなカフェで友人と会話をしている時、店内には心地の良いBGMが流れていることがあります。
AirPods ProはBGMのないお店でも自分の好きなBGMを足しつつ友人との会話を楽しむことも可能です(イヤホン外せよ!って怒られるかもしれませんが)。
外音取り込み機能は今いる空間に自分の好きな音が鳴っている空間を合成することが可能です。
空間オーディオで別空間へ没入
ステレオオーディオ
空間オーディオ
空間を買うと言う項目だったので真っ先に思いついたのは空間オーディオではないかと思います。
これに関しては公式でも言われていますがテレビやiPadで映画を見ていても音声に関しては映画館の中で観ているような体験ができます。
例えば後方から大きな爆発が聞こえるシーンだとします。
映像に対して顔を左に向けていると、ステレオオーディオの場合は後頭部の方から爆発音が聞こえてきます。
それに対し、空間オーディオでは顔を左に向けていると左耳の方向から爆発音が聞こえるようになります。
空間オーディオでは自分自身が音の鳴っている空間に入り込んだような体験をすることができます。
体験を買う
体験を買うとは今まで得る事のできなかった事を経験することができると言うことです。
空間を買うことが最も大きな体験にはなりますが、ここでは空間を買う以外の点で新たな体験を出来たので解説していきたいと思います。
- デバイス間のシームレス連携機能
- 通気孔により耳の圧力を均一に
- 片耳を外すと音声停止
デバイス間のシームレス連携機能
AirPods Proの特徴の一つと言っても過言ではないのがシームレス連携です。
同じApple IDを使用しているデバイスの場合に限るのですが、AirPods Proをデバイスに接続するとiPhoneとiPadに同時に接続してくれます。
iPadからAirPods Proに音楽を流しながらiPhoneでTwitterを見ているとします。
Twitterで気になる動画があってそれを再生するとiPadの音楽が停止してiPhoneの動画の音声が流れてきます。
もちろんApple WatchやApple TVとも連携が可能です。
通気孔により耳の圧力を均一に
いかに空間体験やシームレス連携でAirPods Proを付けたまま色々なことが出来たとしても長時間使用することが難しいのであれば意味がありません。
AirPods Proには耳の圧力を均一にするための通気孔が有ります。
圧が均一になることでカナル型イヤホンによくある耳が痛くなることを防いでくれます。
まさか耳の中の空間まで快適にしてくれるとは思いませんでした。
片耳を外すと音声停止
突然のことでイヤホンを外す事は割とありますが、そのまま音楽や動画が進んでしまうのでどこまで聞いていたのか後から分からなくなってしまう事があります。
自動で一時停止してくれるので後から再度聞く際に元のタイミングから聞き直すことが可能です。
最新の体験だけでなくこういったユーザーの使い勝手にもしっかりサポートしているのは流石だなと思います。
AirPods Proのメリット・デメリット
この章ではAirPods Proのメリットとデメリットについて解説します。
メリット
圧倒的な空間と体験を手に入れることができる
これは「買ったものは空間と体験」の章で詳しく説明しています。
これ程の体験を片側5g程度のデバイスで出来ると言うことはとんでも無いことです。
VR等の体験をするには大きなゴーグルが必要ですがAirPods Proであれば空間体験を手軽に手に入れることが可能です。
セットアップが簡単
Appleデバイスとの連携であれば最初のセットアップで細かい設定は不要です。
これだけ多くの体験が出来るものをワンタッチで設定できるのは素晴らしいです。
方法は「セットアップについて」で説明しています。
説明すら不要なほど簡単です。
専用アプリ等が不要
完全ワイヤレスイヤホンは多くのメーカーが商品展開を行なっていますが高価格帯の物ほど細かい設定を行うために独自アプリが用意されてあります。
アプリはよく出来ているものが多いのですがさまざまなデバイスにアプリを落としてそれぞれに設定するのは手間がかかります。
Appleデバイスで使用するのであればAirPods Proには専用アプリは不要です。
設定を変更したい場合は設定アプリから操作が可能です。
操作が簡単
AirPods Proの操作はテール(?)の部分の感圧センサーによって行います。
操作は感圧部を短く摘む、長く摘むの組合せになります。
電話応答、音の再生や1つ飛ばしや戻しも可能です。
ボタンの役割が左右で異なったり本体をノックしての操作では無いため誤操作の割合が大幅に減少します。
デメリット
手軽に手に入る価格ではない
定価は税込で30580円です。
圧倒的体験が手軽な設定で手に入る反面、お値段は全く手頃ではありません。
空間と体験を買いたい訳ではないなら正直勧められる価格ではないです。
完全ワイヤレスイヤホンが欲しいのであればコスパ最強モデルがあるのでこちらもオススメです。
味付けが万人向けで物足りなく感じる
オーディオ関係といったコアな分野では所謂マニアと呼ばれる人達がいます。
当然AirPods Proもオーディオ好きの方からも注目を受けている商品です。
オーディオ好きな方はイヤホンやヘッドホン、スピーカーをシュチュエーション毎に使い分けて楽しまれてある方が多いです。
アクション映画を観る時は低音がガツンと響いてくるタイプのヘッドホンを使用するという具合にシュチュエーション毎に機材側を合わせて選びます。
さて、AirPods Proの味付けは「クリアな音声は不自然さを排除した結果」でオール4と説明しました。
全方面に優等生な性能ゆえに逆に特定の分野では他の機材に負けてしまいます。
そのため、オーディオ好きには物足りなく感じてしまいます。
アクティブノイズキャンセリングの効きは少し弱め
実はアクティブノイズキャンセリングに関しては他メーカーの機材の方が優秀との意見がみられます。
AirPods Proのアクティブノイズキャンセリングは外音を完全に無音にすることは出来ません。
AirPods Maxも同じ程度の効き具合とのことのためAppleのアクティブノイズキャンセリングの味付けが少し弱めと言うことなのかもしれません。
Appleは装着感を重視している側面もあり、実際AirPods Proにも耳の圧を均一にするための通気孔が設けられています。
通気孔がなければ密閉度も上がるためノイズも入りづらいはずですが、それを敢えて選択しなかったと言う事はアクティブノイズキャンセリングの性能向上よりも長時間装着を不快にしないことを重視した結果だと思われます。
防水性能が低い
屋外でも使用したい完全ワイヤレスイヤホンですがAirPods Proは防水性能が低いです。
特に水没には無抵抗というのは屋外で使用する上ではかなりのマイナス点です。
カナル型のイヤホンは耳から外れることは少ないですが絶対に外れない訳ではありません。
雨天時の使用では気を使う必要がありそうです。
外音取り込み機能は風に弱い
AirPods Proは外音を取り込むためのマイクに風対策がされていません。
その為、風が強い日に屋外で外音取り込み機能を使用すると風切り音がかなり入ります。
この弱点は構造上克服は難しいかもしれません。
シームレス連携が上手くいかない時は逆にストレスに
これは贅沢な悩みと言っても良い気がしますが、シームレス連携が非常に便利ではあるんですが完璧ではないという点です。
AirPods Proの同時接続が上手くいかないことがあります。
便利すぎるが故に少しの不便が逆に気になってしまうことになってしまいました。
手に入る体験は最高なのに評価が難しいガジェット
メリットとデメリットを整理していくと実は物凄くチグハグなガジェットになってしまっているのがこのAirPods Proです。
設定などの手軽さという面ではライトユーザーには非常に喜ばれますが、価格や防水性能の面では手を出しにくい物となっています。
逆に、オーディオ好きといったヘビーユーザーには価格は他のメーカーの高価格帯と変わりはないため問題はありませんが音やアクティブノイズキャンセリングの味付けの面では物足りないという状況です。
万人に向けたものか、コアユーザーに向けたものなのかよく分からないのが正直なところです。
とは言ったものの、得られる体験に関しては文句無しで唯一無二の性能です。
タイトル回収という訳ではありませんが、AirPods Proは単にオーディオ系のガジェットではなく空間と体験を買うガジェットというのが合っているのかなと思います。
まとめ
AirPods Proは万人にとってのベストバイとは言えません。
僕自身、毎日使用していますがコスパモデルでは代用できない最高の体験を享受し非常に満足しています。
この体験を「毎日、自分の好きなタイミングで、好きな時間」手に入れることが出来ることに価値を感じられるかが購入を検討するポイントです。
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